madorismの間取りをつくる建築家
原宏佑(はらこうすけ)
鎌倉市在住の建築家。

関東近辺で約3年の土地探しを経て、30代で北鎌倉に自邸を建築。家づくりを通して、物件探しに大ハマり、今でも鎌倉の物件情報に目がない。「鎌倉で次住むならここが一番だ!」を探し続けて、さすがに2軒目は自身では難しいので、誰かに実現してほしいと心から思い、間取りにストーリーを込めて日々作成している。

だんじりの家プロジェクト

「だんじり都市岸和田」の次世代の姿

町の中に点在する空き家、小屋を“だんじりの家”としてリノベーションし、まちの様々な所に集いの場を生み出す。だんじりが巡り空間を書き換えたり上塗りしていくその風景はこの町の文化となって継承され、周囲の町に広がっていく。

いつの日か、”だんじり”が「まちの家」になったら。

岸和田にはだんじりが欠かせない。
だんじりには岸和田が欠かせない。

だんじりの”ある”生活を想像してみたら、”だんじりの家”のイメージが膨らんできた。

どのような”関わり方”ができるのか
どのような”暮らし”ができるのか。

「まちの家」はみんなの家

だんじりとはどういう存在なのか、どうあるべきなのか。

お祭りの時はもちろん、迫力のあるだんじりであるべきであるが
お祭りの”ない時”の柔らかなイメージがあってもいいのではないだろうか。

迫力ある「岸和田だんじり祭」はこちら

地車巡家」

岸和田のだんじりをまちの動く中心として位置づける
そのことによって、人とだんじりの新たな関係性は生み出される。

普段はだんじり小屋の中に大切に保管されているが
1年365日、だんじりが生活の一部となっている岸和田にとって、本当にそのシステムがよいのだろうか。

だんじりはもっとまちに近い存在であるべきであるし、もっと人々に親しみのある存在であるべきである。実際のところ、親しみのある存在なのに、それが意外と知られていないだけかもしれない。

祭礼の時はもちろん、”迫力のあるだんじり”であるべきだが祭礼以外の時の、”優しさのある柔らかなだんじり”のイメージがあってもよいのではないだろうか。

祭礼時の激しいイメージがある一方で、岸和田のまちを成立させているシステムの質の高さは国内でも数少ないのではないだろうか。長い時間をかけて更新され続けてきた伝統的なシステムから学ぶべきことは多い。

岸和田のまちにしか成立しない、これからのまちのシステムについて考えたい。この地車巡家プロジェクトはこれからのだんじりの在り方を考えるための発端にすぎない。

「だんじり小屋」の境界を”イノベーション”することで、岸和田らしいまちの在り方が見えてくるはずである。

だんじりのための空間として組み替えられた場所はだんじりが去った後に余白としての空間を残す。だんじりの車輪の跡、木の匂い、その場所に居たからこそ感じる空間の質の変化は身体的な記憶として蓄積され、祭り囃子を染み込ませた小さな空間は生活の中に溶け込んでいく。

「だんじり都市=岸和田」
“DANJIRI TOWN” KISHIWADA

”だんじりほど岸和田の人々の心を捉えてやまないものはない”

大人から子供まで、だれもが参加できる”地域”のお祭り。
”町(ちょう)”の宝物である「だんじり」
言葉では表現することのできない価値観/イメージを共有できる”わかりやすいシンボル”
”生活の一部”として日常の中に溶け込んでいる「だんじり」
日々の暮らしの中の楽しみ、ワクワクとした高揚感。
それらはもはや趣味の領域をはるかに超えている。

2012年2月
地車巡家プロジェクト
だんじり小屋改修計画
【Type】リノベーション/Renovation
【Sort】だんじり小屋/Lodge
【Site】岸和田市/Kishiwada