madorismの間取りをつくる建築家
原宏佑(はらこうすけ)
鎌倉市在住の建築家。

関東近辺で約3年の土地探しを経て、30代で北鎌倉に自邸を建築。家づくりを通して、物件探しに大ハマり、今でも鎌倉の物件情報に目がない。「鎌倉で次住むならここが一番だ!」を探し続けて、さすがに2軒目は自身では難しいので、誰かに実現してほしいと心から思い、間取りにストーリーを込めて日々作成している。

建築設計とは

建築設計とは”点”と「点」を結ぶ作業である。

建築のプランを描く時

鉛筆の線で図面上を動き回るひとりの人間を登場人物として仮に設定し、
「ああでもない。こうでもない」
と幾度となく、ひとり延々とシミュレーションを繰り返す。

そのひとつひとつの線はゆらゆらと蛇行を繰り返す者。
はっきりと目的に向かって進むまっすぐな線。
行ったり来たりするジグザグな線。
進んだかといえば、後退する摩訶不思議な線。
か細い線。
図太い線。
繊細な線。

人の流れだけかと思いきや
「物品の流れ、書類の流れ、商品の流れ、水の流れ、空気の流れ、音の流れ、風の流れ、風景の流れ」など
多種多様な線があることに気がつく。

線と線の葛藤の末に、あるひとつの流れが見えてくる。

それぞれの線が点に置き換わる瞬間が必ず来る。

膨大な量の線の中から取捨選択を行い、点に置き換え、点と点を結ぶ。

その途方も無い繰り返しの末に導き出されたひとつの線が建築プランになる。

そのシミュレーションはコンピューター上で行われるものではなく「紙」と「鉛筆」という極めてアナログな方法である。

まずはぼんやりとその風景に浮かぶイメージとしての、曖昧なアウトライン。
そして、その線が重ねられるにつれてハードラインとして定まっていく。

建築を生み出す過程はいつもそう。

登場人物としての線、点が少なければ少ないほど
その境界線はぼんやりとしていて、定まることの無いアウトラインを描くのかもしれない。

様々なプログラムで複合化し、複雑になってくる建築のなかにあっては
複雑で凝り固まった線を解放する「点」を見つけるべきなのかもしれない。

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