madorismの間取りをつくる建築家
原宏佑(はらこうすけ)
鎌倉市在住の建築家。

関東近辺で約3年の土地探しを経て、30代で北鎌倉に自邸を建築。家づくりを通して、物件探しに大ハマり、今でも鎌倉の物件情報に目がない。「鎌倉で次住むならここが一番だ!」を探し続けて、さすがに2軒目は自身では難しいので、誰かに実現してほしいと心から思い、間取りにストーリーを込めて日々作成している。

ファイナンシャルプランを作成し、防御ラインを決める『5のメリット』

記事の概要

家づくりの最初にFP(ファイナンシャル・プランナー)に話をお伺いするのはとても有効です。事前に収入や支出の金額を把握しているとより明確に数字を出すことができます。数字がないと家づくりは始まりませんので、まず最初に取り組んでいただきたい課題です。ファイナンシャルプランを立てることで得られる5つのメリットをご紹介します

記事の目的
  1. どんな人の誰のために?
  2. 何が問題で?
  3. どう解決できる?

  1. 注文住宅を建てたい
  2. 予算の立て方がわからない
  3. ファイナンシャルプランを構築

1. 将来のお金が足りるのか・足りないのか明確になる

ファイナンシャルプランを立てる最大のメリットは将来計画を立てることによって。将来プラスになるのか、あるいはマイナスになってしまうのか。何パターンも作りシミュレーションできることです。

これはあくまで机上の数値ではあるのですが、現実的な金額を入力していくことによって、精度を高めることができます。不確定要素はそのパターンごとにシミュレーションをしてみても良いでしょう。いくつかパターンを試していくうちにこのくらいならいけるんじゃないかという確信が持てるまで何度も繰り返します。ここで違和感があるようでしたら、将来それは大きなダメージになってしまう可能性があります。

家づくりの予算、こどもの人数、教育費(塾・習い事・公立・私立)などが不確定要素として挙げられると思います。未来のことはわかりませんが、ある程度想定することはできますので、望む状態を仮で決める必要があります。あくまで仮の設定なので、何パターンか比較すると良いかもしれません。

机上で、人生の大きな部分を決めてしまうのは勿体無いので『仮』ということを強く意識しておきましょう。

2. 使えるお金の金額がわかる(用途ごと)

シミュレーションの際に、趣味・交際費・旅行費・贅沢費などといった予備費を設定することも大切だと思います。使えないお金のシミュレーションほど、楽しくないことはないです。いくらまで自由に使えるのか、あるいはバッファーとして余裕がある金額はどれくらいなのかを、盛り込んでおきます。

どんぶり勘定はNG。最初の取っ掛かりから、用途毎に細かくするのをお勧めします。自分で使いそうだなと思うもの(使ってきたこと)を書き出して、積み上げていくのが、取りこぼしが無くて良いと思います。

シミュレーションしているのに、必要なお金が反映されていないとなると、ただでさえ机上の話なのに、元も子も無くなります。

3. 資産運用の第一歩になる

若い頃から、老後までお金のことをシミュレーションしていくので、無論”長期目線”で考えるようになります。長期目線で考えることは、まったくやっていなかったので、ファイナンシャルプランナーの方と話をしていくうちにお金のことを少しずつ教わっていきます。

『結婚・住宅・教育・老後・車購入・旅行』などのライフイベントがあり、タイミング・金額を明確にして資産、負債、収支の現状分析を行います。

シミュレーションをしてみて、意外とキツキツだなぁとか、もう少し余裕があったらなぁ、稼ぎを増やしたい。浪費で散財しがち。など様々な現状が見えてくると思います。

そこで、様々な改善策を検討していくのですが、ライフイベントの優先順位や準備するための方法は、人それぞれ異なります。とにかく意見を出し尽くすことは、生活スタイルを見直すきっかけになります。

これは本当にリアルな数字を突きつけられるので、目を背けることはできません。後回しにはできますが、いつかやってくるのです。そして、今の現状は維持しつつ、もう少し家計を支えることができたらなぁ。と本気で数字と向き合うようになるのです。

家計を支えるために、できることとしては投資・転職・副業の3つの方向性があると思います。これらは後々また記事としてまとめられたらなと思います。

とにかく、ファイナンシャルプランを立てることが資産運用の第一歩なのです。

4. 将来へのモチベーション・安心を得られる

目標がないとなかなか行動に移せないもの、ファイナンシャルプランは中・長期的な目標です。計画を立てた段階で、この数字はクリアできそうだし、なんとなく将来的に何とかなります。というお墨付きのようなものとして、どこかに飾っておきたくなる。

「ファイナンシャル・プランニング」とは夢や目標に対して、総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法です。夢が実現できるということは、将来のモチベーション・安心につながります。ファイナンシャルプランは定期的に見直したい重要な作業です。

『ライフ・プランニング=生涯生活設計』はお金だけでなく、健康や生きがいなども含めたライフ・プランニングのなかで、経済的、財政的、金融的な計画を立てることです。

ファイナンシャル・プランナー(FP)に相談をすれば、そのアドバイスをしてくれます。プランを立てるには、まず「キャッシュフロー表」を作りますが、例えば、海外旅行とか結婚、今後の人生の『やりたいこと』とそれにかかる『費用』を書き込みます。この表を作ることで、貯金するにしても、具体的な目標を持つことができます。FPの知識に触れることで、この「キャッシュフロー表」を理解することができるようになります。より良い人生を送るために、ぜひFPの知識を活用したいですね。

将来的に自分の生活は豊かになるのだと、思い描ければ、それはとても良いイメージトレーニングになります。

5. 資産運用の基準(ベンチマーク)が得られる

資産運用として年間何%の利回りで続けていくのか。収入に対する貯蓄額を何%確保するのか。長期的な資産運用の残高をどのようにしたいのか。現時点での基準(ベンチマーク)を得ることで、年間成績が十分なのかどうか判断がしやすくなります。投資においてリスクをとるのか、これ以上無理に取らなくてよいのか。

家づくりにおいてに話を戻すと、順番は以下のようなパターンです。結局のところ効率が良くて、手戻りが少ない順番だと思います。住みたい家より住める家を考える方が近道です。

  1. 住宅にかけられるコストから、住宅ローン借入額など資金計画を決定
  2. 土地と建物の比率を決定
  3. 住宅規模・性能などグレードを”仮”決定
  4. 土地を探す
  5. 建物を概算見積する

資産計画を立てて、1〜5をやってみて、やっぱり違うな。と後戻りすることは少ないと思います。圧倒的に時間がかかるのは『④土地を探す⑤建物を概算見積する』です。

③の仮決めの時にもう少し広ければグレードをやや下げる。グレードは下げたくなければ、規模を我慢する。そして、それでも納得いかなければ予算が足りないので、またファイナンシャルプランを立て直す。

①〜③とファイナンシャルプランを並行して行い、これで決めた。と決断できてから最終的な土地を探すのが効率が良いと思います。

繰り返していくと、どのくらいの生活水準にするのか、ベンチマークとして自分の中にイメージができると思います。そして、そのイメージが数字と一緒に感覚的にわかるようになれば、もうプロのFPになれると思います。

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