家づくりのお金|注文住宅費用の内訳を把握|土地取得費、建築コスト、諸費用(土地と注文住宅 Part.5)

注文住宅の家づくりにかかるお金は「土地の売買価格」や「建物本体価格」だけではありません。土地の状況に応じて追加料金(別途工事費)が発生することを考慮して、全体予算を組み立てることが大切です。予算にどこまでが含まれているのかを設計会社や建設会社へ共有することで、思わぬ予算オーバーを回避することができます。知らなかったでは後々後悔してしまうことになるので、事前に確認しながら家づくり計画を進めることをおすすめします。今回は大きく3つの予算「土地取得費、建築コスト、諸費用」の内訳を解説します。
- どんな人の誰のために?
- 何が問題で?
- どう解決できる?
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- 予算把握のため、注文住宅の内訳を知りたい。
- どんな費用がかかるのかわからない。
- 土地取得費、建築コスト、諸費用の内訳を確認。
家づくりの内訳(注文住宅:土地取得含む)
家づくりの内訳について、注文住宅を検討するまで考えたことはありませんでしたが
いざ、土地から探して、どんな家に住みたいか?を考えることになった時に実際に必要だった費用をベースとして(価格は仮で設定しています)
これは土地の状況によっては必要な費用だった。
これは不動産会社(売主側)ですでに実施済みだった。
とかで、費用がかからずに済んだものもありますが、予算組みに必要な項目として計上できるようなツールを作成しました。基本的には土地価格と建物本体価格を入力すれば、おおよその予算感をつかむことができます。
その他に、別で住宅ローンの検討をするのですが、銀行ごとに総支払額を検討できるようにしていて、予算計画を立てるためのツールとして使ってもらえればと思っています。
不動産情報サイトに表示されている土地代金だけではない、見えていない価格を把握するのに役立ててもらいたいのと、建築コストに関しては、住宅会社に対して、実際にどこまで含まれているのか、確認するためのツールになればと思っています。建物本体価格に含まれていない場合は別途計上が必要です。諸経費、税金は20%程度で追加でかかるので大きな金額になります。
家づくりの内訳としては
- 土地取得費
- 建築コスト
- 諸費用
の3つの費用を把握する必要があります。
以下の表はmadorism(マドリズム)利用者に無料で提供しているスプレッドシートなのですが、使用例(首都圏近郊)を順に解説していきたいと思います。

①土地取得時(土地代、諸費用)
土地を取得する場合は、土地代と諸費用がかかります。

土地
土地に関しては、不動産会社へ支払う仲介手数料、土地所有者の登記情報の変更費用、そして土地取得に伴う固定資産税の支払いです。
仲介ではない場合は仲介手数料はかかりませんし、固定資産税は家屋が1月1日時点であったか、なかったかなどで変わってきます。
諸費用
その他費用に関しては、境界確定のための測量費用、地盤強度の把握のための地盤調査費用、古屋がある場合は解体費用、段差があったり擁壁を作り変えるための造成費用、上下水道が引き込むための上下水道引込費用の支払いです。
土地の境界状況を確定させるために測量図がなければ測量図を作成する必要があります。売主の方で実施済の場合が多いですが、土地の状況によっては費用がかかることがあります。
地盤調査は周辺状況に応じて行う場合がありますが、建物工事に付随して調査をすることもあります。
解体費用は規模や構造(木造、鉄骨造、RC造)などによって費用が変わってきます。
造成費用は擁壁の「高さと長さ」に応じて費用が変わってきます。
上下水道引込費用は追加で延長する水道長さに応じて費用が変わってきます。
②建築コスト(建物、外構、設計)

建物
建物に関しては、建物をつくる工事費として建物本体価格(便宜上、別途工事となる照明器具や空調設備含むとしています。)、建物を支える基礎の下を補強するための地盤改良工事、そして施工会社へ支払うための諸経費の支払いが必要です。諸経費は別途工事を除く建物本体価格にかかってきます。
建物本体価格は、建物を建てるための準備をするための仮設費(足場、仮囲い)、建物の土台をつくる基礎工事、建物の骨格をつくるための木工事(構造構造により鉄骨の重量t数を単価とした鉄骨工事、や鉄筋コンクリートの体積㎥を単価としたコンクリート工事及び配筋工事)、外装工事、内装工事(左官、クロス、造作、金属)、住宅設備工事(キッチン、洗面台、浴室)などが含まれています。
地盤改良工事は、地盤の状況に応じて建物基礎の土台となる地面に地盤改良を行う工事です。地盤が弱い場合は杭工事が必要となりますが、大規模建築ではない場合は地盤改良で済むことが多いです。
諸経費は、建物本体価格に対して一般的に10%の支払いが発生します。今回は便宜上別途工事も含めていますが、別途工事は工事会社の外注費用なので一般的には10%のフィーを余分に取られることはありません。もし見積もりで含まれている場合は確認することをおすすめします。
なぜなら外注先に対する10%の諸経費は元請けである工事会社にすでに請求済であり、元請けがさらに施主に10%の請求をすることは、二重経費の請求になるからです。
外構
外構に関しては、土のままの地面を用途に応じて舗装するための舗装費、隣地境界や道路境界を明確にするための境界工事、敷地を緑化するための植栽工事の支払いが発生します。
舗装費は建物へのアプローチ、車両を駐車するための駐車場の舗装費用が含まれています。
境界フェンスはブロック境界(フェンス)とするか、コンクリート塀、生垣、竹垣、石垣などのグレードと境界長さによって費用が変わってきます。
植栽は庭としてガーデニングするための植栽費(高木、中木、低木、地被類)が含まれています。庭としてデザインしたい面積及び樹種や本数により費用が変わってきます。
設計
設計に関しては、設計会社や工事会社によって料率が変わってきます。設計料の最低価格を定めて工事費により設計料を変動させることが一般的です。設計期間だけでなく、工事監理の期間は1年以上になる場合が多く、建築家へ依頼する場合は最低でも300〜500万円程度の設計費は必要になります。
③諸費用(借入関連費用、別途諸費用)

借入関連費用
借入関連費用に関しては、登記を表示するための費用、登記表示に対して必要情報を保存する費用、住宅ローンを組む場合は抵当権設定費用、融資全体の事務手数料、保証としての取扱費用、土地取得時や着工金、中間金をローン借入する場合に必要なつなぎ融資費用(つなぎ融資は工事完了時に住宅ローンで完済するので日数割です。設計期間、工事期間が長くなるほど費用負担が大きくなります。)の支払いです。
別途諸費用
別途諸費用に関しては、家具、収納用品、家電、引越し費用、火災保険の支払いです。
家具は造作工事で作り込むことも可能です。デザイン家具を置くためのスペースは事前に設計図に落とし込んで、無理な計画になっていないか確認します。
収納用品は新しく新居を構えるにあたり大々的に見直していたできたい項目であるので計上しています。衣服ケースや書類ケースだけでなくキッチン用品なども購入することを前提に計画を進めることを推奨します。
家電はキッチン工事に含めて住宅設備とする場合もありますが、新たな新居に合わせて買い換えることも想定されるので、予算に計上しています。
引越し費用は荷物の量に応じて変動しますので、見積もりを取っておくことをおすすめします。
火災保険は保険対象範囲によって変動します。地震保険をどの程度の損害までをカバーするかによって変わってきます。
予算分析
入力した数値によって予算分析を行います。
建築コストと土地取得費は地域によって変動しますが、首都圏郊外では土地取得費が高くなるので、建物費用に近い金額がかかります。
首都圏以外の地域では土地取得費が下がり、建物割合が高くなります。
建築コストとしては、おおよそ建物が79%、外構4%、設計7%、諸費用10%となりました。

今回のケースでは土地3500万円、建物3000万円で計画コストが8300万円。
8300万円に対して自己資金をどれだけ投入するのか、次のステップとして住宅ローンを組む場合は実際に借入を行う銀行の検討(金利や保証金の差)に入っていきます。
土地価格に関してはエリア選定である程度の相場は決まってくるため、エリアを決めると、今回のツールによりおおよその住宅建設費用の概算価格を算出することができます。
実際には個別にどのような費用がかかるかが変わってくるため、表の金額を微調整しながら現実的な予算計画を策定します。
次回は住宅ローンの金利支払額を考慮して実質費用について考えていきたいと思います。
注文住宅とは
注文住宅とは間取りやデザイン(外装・内装・構造)を自由に決めて建てる”一戸建て住宅”のことで、自ら選んだ土地(または、既に持っている土地)に、自由な発想で設計して様々なライフスタイルを実現することができます。建築家が設計する住宅を「注文住宅=デザイン住宅」とも言うことがあります。
注文住宅の中でも代表的な2種類である「建築家と建てる家(フルオーダー)」と「ハウスメーカーと建てる家(セミオーダー)」の違いについては、以下の記事を参考にご覧ください。




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