madorismの間取りをつくる建築家
原宏佑(はらこうすけ)
鎌倉市在住の建築家。

関東近辺で約3年の土地探しを経て、30代で北鎌倉に自邸を建築。家づくりを通して、物件探しに大ハマり、今でも鎌倉の物件情報に目がない。「鎌倉で次住むならここが一番だ!」を探し続けて、さすがに2軒目は自身では難しいので、誰かに実現してほしいと心から思い、間取りにストーリーを込めて日々作成している。

KIASMA_ヘルシンキ現代美術館

2つの軸が交錯する空間「キアズマ」
ヘルシンキ現代美術館

歪みのある空間
動きのある空間
導かれる空間

2つの軸が交わろうとするものの、アールを描いた壁面が奥の空間へと引き込む。壁面は段構成に分割されていて、その空間軸の複雑さを表現している。斜めに傾斜しながら、進んでいくスロープは、パースペクティブに効果的で、奥行き感が増すだけでなく、その上段の別軸の垂直な壁面との僅かな差異を強調するには十分足る。

奥行き方向の幾重ものレイヤーがありつつも、スロープを伴う上下運動が前進するため。なんともいえない身体的には常に揺さぶられるようなイメージを感じる。常に自分が何処にいるのかを把握し続けるため、あちらとこちらの距離や関係性を複雑に絡め合わせながら空間を味わうことになる。

さらに、秀逸なのはヘルシンキの高度の低い光を捉える形態によって生み出されるこの場所ならではの空間の質。

真っ白ではなく、少しくすんだ白の壁面。
全体のテクスチャに翳りがある。

その少し霞みがかった素材感がヘルシンキの空気に馴染んでいる。

曇り空のような、空気感の中に差し込む一片の光線

陰りのある光に溢れた空間がここに生まれている。

DATA

ヘルシンキ現代美術館/Nykytaiteen museo Kiasma

【Type】建築/Architecture
【Sort】美術館/Museum
【Site】ヘルシンキ/Helsinki
【Architect】スティーブンホール/STEVEN HOLL ARCHITECTS

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