住まいづくりの判断整理アドバイザー
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一級建築士が、土地探し・間取り検討・住まいづくりの進め方を第三者の立場で整理するアドバイザリーです。

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San Carlo alle Quattro Fontane_サン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂

サン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂

厳格な時代背景の中で生まれ
この上なく自由に畝り、ほとばしる感性を表現した建築

穏やかな街並みのローマにあって、異端児ともとれる挑発的なファサード(建物の外観、正面)

内部に広がる、楕円の歪んだ真珠が殻を打ち破るようにそのエネルギーを抑え切れず外へと表出する。

建築家フランチェスコ・ボッロミーニの傑作。

ミニマル
教会建築
の最高峰

サン・カルロ・アッレ・クァットロ・フォンターネ(サンカルロ聖堂/San Carlo alle Quattro Fontane)は、ローマにある小さな教会です。設計はフランチェスコ・ボッロミーニ。見どころは、平面と天井がつくる“うねり”のような曲線と、光が面を滑ることで生まれる陰影の変化。この記事では、何が特別なのかを「空間の仕組み」から順にほどきます。

イタリアローマを訪れた際に、必ず見ておきたい建築。バロック建築の時代背景を知るとその素晴らしさが何倍にもなって、空間を楽しく鑑賞できる。

サン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂。名前が非常に長いなと、名前のインパクトを当初持っていたが、その平面形状の豊かさ、意匠的な連続性は一見の価値あり。外部からは想像できない、豊かな空間。

ひとつの楕円の空間をベースとており、ひとつの建築に、ひとつの空間があれば十分ということを改めて認識させられた。

非常に幾何学的で複雑な構成をしているため、頭の中で理解しようとするというより、むしろ感覚的にその主題を受け入れさせようと意図しているのか。

ファサードは水平垂直の傾向のある古典的とは正反対の波打ち湾曲した表情をしている。
コリント式円柱が台座の上に立ち、エンタブラチュアを支えており、階2層と窓3列構成の全体が骨格として現れる。
主要な円柱の間にさらに小さい円柱があり、それらが壁や窓の枠を形成し、そこに様々な彫像や主玄関が置かれている。

内部の構成というと、まず主玄関の正面に主祭壇があり、それと交差する軸上に2つの祭壇がある。
それらの間に16本の柱が4本ずつ立っていて、その上に幅広いエンタブラチュアが一周取り囲んでいる。
したがって基本的には十字形を意識した設計のように思われるが、柱の配置は十字形ではなく斜めに歪んでいるため、楕円の中心から同時に全ての祭壇が見えるようになっている。
柱の間に壁や繰形や扉が配され、全体として波打つような動きを感じさせる効果を生んでいる。その独特のリズムのある設計とその根底にある幾何学との関係性は空間体験が重視されており、教会の象徴主義やボッロミーニの業績を語る上でも重要とされている。

サン・カルロ聖堂は何がすごい?

サン・カルロ・アッレ・クァットロ・フォンターネ(通称サン・カルロ聖堂)が特別なのは、「小ささ」と「複雑さ」が同居している点です。
平面も天井も、まっすぐな線で部屋を作るのではなく、曲面で“押したり引いたり”して空間の輪郭そのものを設計しています。さらに、その曲面に光が当たることで陰影が連続的に変わり、同じ場所に立っていても天井がゆっくり動くように感じられる。
ここは装飾を見に行く場所ではなく、空間がどう成立しているかを体で理解できる場所です。

曲線は装飾ではなく、空間の「骨格」

曲線というと、つい「美しい飾り」と思いがちです。けれどサン・カルロ聖堂の曲線は、飾りではなく構造そのものに近い役割を持っています。
この教会の輪郭は、円や楕円を一発で描いたような単純な形ではなく、複数の曲線が押し合いへし合いしながら成立しています。つまり、壁が“模様”として曲がっているのではなく、壁が曲がることで空間の重心と緊張感を作っている

見方のコツは、平面を「部屋」ではなく「力の流れ」として捉えることです。
凹んでいる部分は空間が引き込まれる場所、膨らんでいる部分は押し返してくる場所。歩くと視界が素直に抜けず、わずかな距離で見える面が入れ替わるのは、その“骨格”が曲線でできているからです。


光が面を変える:天井が“動いて見える”理由

サン・カルロ聖堂の体験を決定づけるのは、曲線に当たる光です。
曲面は、平面のように「明るい/暗い」で割り切れません。光が滑り、濃淡が連続して移り変わる。その結果、同じ天井でも角度を変えるだけで、面が立ち上がったり沈んだりして見えます。

この“動き”は、実際に天井が動いているのではなく、

  • 曲面が細かく方向を変えていること
  • 光の入り方が一様ではないこと
  • 陰影の境界が直線ではなくグラデーションになっていること
    が重なることで生まれます。

おすすめは、まず中央で止まり、次に半歩だけ位置をずらすこと。
視線を天井の中心から周縁へ滑らせると、陰影が「線」ではなく「帯」で変化しているのが分かって、空間が呼吸しているように感じられます。


行く前に知っておくと見え方が変わるポイント3つ

1)“正面”を探さない

この教会は、正面から一枚絵で理解するタイプではありません。良さは「固定の視点」ではなく「移動で切り替わる視界」にあります。入口から一気に全体を把握しようとせず、まずは輪郭の“うねり”を感じるつもりで歩くと、理解が早いです。

2)壁ではなく「境界」を見る

注目するのは壁面の装飾というより、壁と天井の接点、曲線の切り替わり、陰影の境目です。サン・カルロ聖堂は、面そのものよりも面と面の関係で空間を作っています。境界に目を置くと、急に“設計の意図”が読めるようになります。

3)天井の中心→外周の順で見る

最初から全体を見ようとすると情報が散ります。
おすすめは、天井の中心に視点を置いてから、外周へ視線を流す順番。中心の秩序(まとまり)を掴んでから周辺の変化を追うと、曲線がただのうねりではなく、空間を支えるルールとして見えてきます。

DATA

San Carlo alle Quattro Fontane/サン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂

【Type】建築/Architecture
【Sort】カトリック教会/church
【Site】ローマ/Roma
【Architect】フランチェスコ・ボッロミーニ/Francesco Borromini

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