ambitect
貯める・探す・描く・つくる・暮らす
2014年に設立されたデザインディレクション『ambitect』。建築に関わる5つの力(貯める・探す・描く・つくる・暮らす)をベースとした、デザインコンサルタントを行う。SNSにて暮らしの情報を発信し、2023年より『暮らしの窓口』を開設。

三角の家

三角の家。

建物と太陽の関係をシンプルに考え、光を捉える家。

家の中に小さな縁側、土間などの曖昧な空間を設けることで日本古来の豊かな住環境を実現する。

限られた敷地の中に配置された長方形のプラン。片側に水回りや小部屋を寄せることで、空間にメリハリのある抜け感を生み出している。

横から見ると三角形の家。片流れの一枚屋根は頂部を絞りハイサイドライトが頂部から室内全体を照らす構成となっている。断面モデルとしては、長軸方向に視線の抜けを確保できるが、空間としては短辺の片側の庭・縁側に向かって開けた構成したい。片流れ屋根が垂れ下がることによって、外側に伸びる縁側への視線を地面の庭へと集中させる。外の風景を水平基調の窓によって、幾何学的に切り取る。

正面から見ると建物のほとんどが屋根で覆われており、開口部は一階のごく限られた横長の窓のみである。

家の中に一歩踏み入れると、庭からの緑が内部全体に映り込み。頂部は季節によって制御された太陽光が取り込まれている。

断面的形状はいたってシンプルであり、屋根の頂部にあるただ1つの開口部から家全体の光と風の自然環境がコントロールされている。とはいえミニマムな暮らしを支えるグラウンドレベルにおいては、庭に向かう建具の造作にはこだわりたい。
外との関係を積極的に生み出したいものの、夏の暑さ・冬の寒さが厳しい日本の暮らしにおいては、一概にガラス一枚で関係性が作れるものではない。障子の建具。濡縁・入側・土間縁などの多様な関係性を外に対して構築することによって、四季折々の暮らしを支える窓を構成する。

豊かな緑は地面に植わっており、その空気感は横長の窓により、勾配に沿って軒裏天井に映り込み、天井を介して建物の奥まで取り込まれる。大きな屋根が生み出す天井面の材質・素材感には一層の配慮が必要だと考えられる。

非常に小さく限られた空間ではあるものの、手に届く範囲にある豊かな緑を楽しむための「機械」あるいは「装置」として、小さいながらも豊かな空間を実現した最小限住宅を「曖昧な家」のプロトタイプとして考えている。

2016年10月
個人住宅
【Type】建築/Architecture
【Sort】住宅/House
【Site】大阪府岸和田市/Osaka-Kishiwada