音の器
建物全体が劇場空間であるような音楽ホール「音の器」
現代の音楽ホールでは演者と観客の領域が客席と舞台とでそれぞれ独立してしまい、舞台を見るだけのものがほとんどである。
「音を聞く」のではなく「音の中にいる」ような感覚を生み出したい。
「舞台にいる」「客席にいる」という両者の境界は、同じ場を共有することによって重なり合い、音は外へ外へと浸透していく。
音と人が出会い、音との様々な距離感が生み出される。
そして、音は人の中に居場所を見出す。
従来の閉じきってしまった音楽ホールでは
気軽に音楽を発信することも、聞くこともできない
ホールというものは一定の集客が見込まれて、はじめて収益が取れる。
集客が見込めない
そのことはつまり、施設の利用ができない。という結果につながらないわけではない。
今回対象としているのは若手のアーティストである。
そういう人たちのすべてが集客を見込むことができるわけではない。
もちろん、人気のあるアーティストなら集客を見込むのは可能であるのかもしれない。
しかし、すべてのアーティストがそのような状況かというとそうではない。
音楽ホールが若手のアーティストでも気軽にパフォーマンスできるようにするのが目的であるなら、ホールそのものの空間構成を少し見直せないだろうか。
人気のあるアーティストから、まだ無名に近いようなアーティストまで、どんなアーティストに対しても良い環境でホールを提供したい。
アーティストは音楽を多くの人に聞いてもらいたい。
まちの人々は新しい音楽を求めている。
2012年11月
都市型音楽ホール
建物=音楽器
【Type】建築/Architecture
【Sort】音楽ホール/Music Hall
【Site】東京都渋谷区宇田川町/Tokyo